みるきーうぇいofficial web site

NEWS

僕らの感情崩壊音「汚れた手」ライナーノーツ

2020/08/19

70年代、今でいうポップソング=歌謡曲はもともと危険でエロティックな匂いを漂わせるものだった。いつの頃からJ-POPは健全と言えば聞こえはいいが、無味無臭な応援歌が増えてしまったのだろう。もちろん、それは時代の要請に応えた結果なのかもしれない。しかし、コロナ禍にある今の時代、僕らの心の穴、あなたとの心の距離を埋めてくれる音楽とは、そんな空虚な音楽ではないはずだ。

 

みるきーうぇい、伊集院香織にとって「汚れた手」はとても大事な曲だ。“本当に大切にしてきた曲。 去年欠かさずライブでやっていた曲。”と言いきる。すべてをさらけ出し、自らの経験から生まれた泣けるラブソングだ。そこで、彼女は楽曲が生まれた経緯、鳴り響いた“感情崩壊音”をポップミュージックとして紡いでいく。

 

パワーワードがある。“明日 世界が滅ぶとしたら 迷いなくあなたに会いに行く あなたがあの子の元へ走るなら あなたの靴をすべて隠すわ どうか裸足で走らないでね 汚れた手でも許してあげる その足は汚さないで あたしを蹴ってもいいから”。

 

このフレーズとともに楽曲は高揚感が爆発寸前にまで高まっていく。エモーショナルなギターの音色がやさしく澄んだ歌声と混ざり合い、ドラマティックに鮮烈だ。

 

ほんの少しだけシンデレラの物語をオマージュするような展開。しかし、ここで彼女は、彼の靴を隠そうとする。そして、あの子に触れた“汚れた手”を許してあげるのだ。そこにあるのは素直な想いの強さ、感情の振れ幅を超えていく楽曲のラストでギターがフィードバックするノイズ音。あなたにとってどんな表情に聴こえるだろうか? 

 

 

小説やミュージックビデオ、楽曲が織りなす世界を超えて、みるきーうぇいの物語はまだまだ広がっていく。

 

 

ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

 

TOP