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僕らの感情崩壊音「傷跡の観測」ライナーノーツ

2020/09/17

みるきーうぇいがコロナ禍の2020年に解き放った“#僕らの感情崩壊音 シリーズ”。5曲目にして、新境地ともいえる新しい世界観を持つ大名曲に出会えた。その名も「傷跡の観測」だ。

 

イントロの柔らかな音像のなか、ベースとストリングスによる重厚な裏メロが、みるきーうぇいの新たな音色を浮き彫りにする。

 

伊集院香織曰く、恋の葬式を挙げた日の曲だという。描かれるのは、かつての恋人たち。印象的な、お互いが着ていたという黒いYシャツと黒いワンピースのいでたち。“僕ら二人の時間を殺した 共犯者の証みたいね”と、お気に入りの服を表現するパワーワードに痺れる。

 

学生時代、BUMP OF CHICKENを聴いて、澱んでいた気持ちから救われた経験を持つ伊集院香織。ヒット曲のタイトル「天体観測」という言葉が本作にも登場する。しかしながら、黒いワンピースを着た彼女は“最後に天体観測をしよう 二人と同じ黒い空 切り傷によく似た流星が 空と二人を切り裂いた”と歌う。悲しみでしかないフレーズだ。

 

だが、感情に再び火が灯されるサビのメロディー“いつかまた会えるとしたら 傷跡の深さを測り合おう 笑ってまた会える日が来るのなら 傷と傷をすり合わせて 血を分け合おう”。このフレーズによって、すべての思いが溶けていく狂おしいせつなさが秀逸なのである。

 

本作は、彼女が当時の恋人と沖縄へ行った際のことが題材とされている。小説では、沖縄であったことの意義、そして本作のタイトルが「傷跡の観測」であったことのワケ。そして“傷跡の深さを測り合おう”というフレーズの真意が描かれている。

 

伊集院香織が、実体験から歌を紡ぎ出す天性のメロディーメーカーであることを「傷跡の観測」は証明してくれた。

 

ミュージックビデオの映像美。小説として赤裸々に繰り広げられていくストーリー。そして、楽曲と折り重なっていく感動のフィナーレの瞬間、伊集院香織は“生きていこう”と歌う。ここでもまた“僕らの感情崩壊音”がパーンと鳴り響いたのだ。

 

ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

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