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みるきーうぇい ミニアルバム『僕らの感情崩壊音』ライナーノーツ

2020/10/06

みるきーうぇいが3枚目となるミニアルバム『僕らの感情崩壊音』を9月30日にリリースした。2020年という年は、ライブバンドがライブを自由に行えないコロナ禍において、作品創作やアウトプットに時間をかけることのできた稀有な時間になったのかもしれない。

 

結果、伊集院香織は楽曲と向き合い、そして紐解き、シナジー効果を高める“小説執筆”やレコーディングに時間をかけることができた。そんな世界観を可視化したミュージックビデオもこの数ヶ月で5作品を発信することもできた。

 

こうして誕生した、“感情崩壊する度に頭の中で鳴り響いた爆音たち”が集結した最新作『僕らの感情崩壊音』。恋が崩壊した日も、上京した日も、汚れた手を繋いだ日も、友達が結婚した日も、恋の葬式をした日も、カッターナイフを投げた日も、伊集院香織のすべての日々の記録が本作には収められている。いまにも泣き出しそうな歌声と呼応するせつなき大切な物語たちだ。

 

こんなにも赤裸々に自分の気持ちを爆発させてくれるシンガーは今の日本では珍しいことだろう。標準化、効率化が何よりも優先さられる現代において、自分自身に正直に向き合い続けるみるきーうぇいには勇気を貰っている。そんなリスナーは多いはずだ。

 

そして、リリースされたばかりのミニアルバム『僕らの感情崩壊音』にはサプライズがいっぱい込められていた。なんと、みるきーうぇいをインディーズ・シーンで一躍有名にしたキラーチューン「カセットテープとカッターナイフ」が6曲目に新ヴァージョンとして再録されていたのだ。ライブでも最後にスパークする、いじめと向き合った激エモーショナルなロックチューンだ。

 

しかも、「カセットテープとカッターナイフ(ver.2020)」、「汚れた手」、「傷跡の観測」の3曲は、CoccoやGRAPEVINEを世に送り出し、くるり、aiko、つじあやの、中島美嘉、木村カエラ、一青窈、miwaなどに携わる音楽プロデューサー、根岸孝旨が参加している。それだけではない。「ドンガラガッシャンバーン」は、あの亀田誠治がプロデュース。レコーディングには亀田誠治がベース、リードギターは西川進、ドラムは伊藤大地というスペシャルなメンバーが集結している。

 

こういったニュースをリリース後まで、一切おくびにも出さない伊集院香織のパンクな姿勢にもリスペクトだ。

 

みるきーうぇいはもともと3人組バンドとして活動していた。しかし、ドラムとベースの二人が脱退し、現在では伊集院香織による独りバンド体制となっている。そのことを彼女はポジティヴに捉え、“いろんな男を乗り回して強くなる、音楽的ビッチという形を取ろうと思った。”とユーモアを交えながら表現するのだから笑える。いや、いいアイディアだと思う。そして最高な形で実現させたのだ。

 

その結果、「汚れた手」と「カセットテープとカッターナイフ ver.2020」ではドラムにCrossfaithのTatsuyaが参加。「出席番号」のアレンジは石崎ひゅーい作品などでも知られるTomi Yoが担当しているというのも注目ポイントだ。どこかしら、尾崎豊へと通じるセンスを感じたものだ。

 

リリース直後、次なる展開はすでに口火を切っている。みるきーうぇい初のテレビドラマ・タイアップが決定したのだ。謎解きドラマ『歴史迷宮からの脱出』の主人公、“楽しいことしかやりたくない、それをしないのは今から逃げてるってことだ”を信条とする純ちゃんと自分に向けて作ったという新曲「君をさらって夜を飛ぶ」が、先日番組のエンディングで初披露されたばかりだ。“謎解き”の制作はSCRAP代表、ミュージシャン出身の加藤隆生の名前がクレジットされていたことも、関西出身のみるきーうぇいとしては縁を感じられるサプライズだと思う。

 

良き運は運を高めて、周囲を巻き込み螺旋状に駆け上がっていく。3枚目となるミニアルバム『僕らの感情崩壊音』とともに、みるきーうぇいの新しい1ページはここからはじまっていく。2021年へ向けて、さらなる大躍進を期待したい。

 

ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

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